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2017.02.22

食欲

こんにちは、歯科医師田村です。
「ここ2週間は、気温の急上昇・急降下が繰り返され、ジェットコースターのようですよ」という天気予報を見ました。バックミュージックはKinKi Kidsの『ジェットコースター・ロマンス』(←たしかそんなタイトルだったような…)が流れていました。
気温のジェットコースターは体に応えますし、本物のジェットコースターの急降下もとても苦手な私です。

それはさておき、本日は食欲についてのお話です。
私は訪問診療の経験があるのですが、高齢者介護の現場での治療や歯科的な健康管理は、なかなか困難なことが多いです。

食べ物を食べるという行為にはたくさんの過程があります。
まず目で見たり鼻で匂いを嗅いだりして食べ物を認知し、それを口に近づけながら口を開け、食べ物を舌の上に乗せ、左右でバランスよく噛み砕きながら唾液と混ぜ、頬や舌をうまく動かして噛み砕いた食べ物の塊を作ります。そしてそれを飲み込む準備として瞬間的に息を止めて軟口蓋・口蓋垂という上顎の奥の方の軟らかい組織で気道の上(鼻に通じる道)を蓋します。食べ物はのどの奥へと流し込まれ、舌の奥深いところにある喉頭蓋谷(舌の奥の面と喉頭蓋の内面に囲まれるスペース)という凹みに、飲み込んだ食べ物の塊が一時貯まります。
喉頭蓋谷に貯まった食べ物の塊の重みや、周囲の筋肉の動きなどが働いて、喉頭蓋は下にめくれて気道を塞ぎつつ、食べ物の塊を食道の方へと滑り台のように流していくのです。

病気や事故や加齢による脳機能の衰え・身体機能の衰えにより、飲み込みがうまくいかなくなり、むせたり誤嚥することが増えてきます。誤嚥に伴って肺炎を起こす頻度が上がると、胃に穴をあけてチューブをつなぎ、そこから栄養ドリンクのような液体を流し込んで栄養摂取するようになります。
栄養は取れているとしても「口から食べ物を食べる事ができない」ということは、とても辛く悲しいことなのです。日々の楽しみを奪い、生きる気力を減らしてしまうほどのことでもあります。
食欲は人間の三大欲求の一つである、ということは過言ではないのですね。

・・・長くなりそうなので、今日はここまでです☆